はるひまパパの日常

「家族との時間」と「仕事」の間で葛藤する30代医師の日常です

読書記録『高学歴親という病』

どうも、はるひまパパです。

 

去年受けた歴史検定世界史2級の結果が返ってきました。

合格ライン:100点満点中60点

得点:62点

なんと合格しました!笑

正直受かると思ってませんでした。

かなりギリギリでしたが、合格は合格なので嬉しいです。笑

次は1級を受けるかどうか…少し考えてみます。

 

 

今回読んだ本はこちら。

 

『高学歴親という病』講談社(成田奈緒子 著)

なかなかキツめのタイトルですが、知り合いにおすすめされ、この著者のことは以前テレビか何かで見て知っていたので買って読んでみました。

 

小児脳科学者の著者がこれまでの自身の研究をもとに、自分の幼少期の実体験や育児経験、そして実際に著者の元を受診したケースを紹介しながら、子どもとの向き合い方について書かれた本です。

正直親が「高学歴」かどうかというよりは、親自身の幼児期の体験が大きく影響しているのかなと思いました。

個人的にかなり共感できるというか、今の育児について「これでいいんだ」と強く背中を押してもらえたような気がします。

自分の中の育児のバイブルとして『子どもへのまなざし』(佐々木正美 著)という本があるのですが、その本とも通ずるところがありました。

(『子どもへのまなざし』は大体年1で読んでいるのでまた読んだらここで紹介させて頂きます)

 

一番共感したところは、

"規則的に呼吸をして、心拍が速すぎもせず遅すぎもせず、筋力がちゃんとあって、危険から身を守れるぐらいの運動神経がある。夜になったらコテっと寝て、朝になったらパカっと起きて、いつもニコニコ元気いっぱい〜(中略)〜そこが一番大事なのです。そこを土台にすべてが作られるのですから"

"「育児」とは、5歳までに立派な原始人を作り上げることと言っても過言ではない"

というところです。

 

脳には育つ順番がある、と著者は言います。

①0-5歳

「からだの脳」=「生きるための脳」

内臓の働きや自律機能の調節を行う視床下部などの間脳や脳幹部

→寝る、起きる、食べる、からだを動かす

②1-18歳

「おりこうさんの脳」=「人間らしさの脳」

大脳新皮質

→言語機能や思考、スポーツの技術的なもの

③10-18歳

「こころの脳」=「社会の脳」

前頭葉

→人間的な論理的思考を行う問題解決能力

 

基本的にはこのように3段階で育つものだが、多くの親たちが「からだの脳」を育てずに「おりこうさんの脳」と「こころの脳」の機能を求めてしまう、と著者は指摘します。

 

そこにはいくつか原因があります。

「からだの脳」の成長は可視化されにくい一方、「おりこうさんの脳」などは点数や順位で目に見えやすい。

「からだの脳」を育てるには親の我慢が必要。

あとは明確にこの本では記載されてはいませんが、一人っ子が増えてきたことで子ども1人にかける熱量(時間や金銭なども含む)が増したことで、早期教育なども加熱している、ということもあるかと思います。

そして「高学歴親」という要素が加わることでそこに拍車がかかります。

 

本書では著者の元に相談・受診しに来た実際の親子のケースがいくつか紹介されています。

もちろん親も悪気があるわけではないのですが、子どものために良かれと思ってやっていることが、親が先回りして子どもへの過干渉になっていたり、気づけば周りの親子も通わせてるから習い事に行かせるなどというある意味親自身の不安を解消するためだけの行動になってしまっているということも多いそうです。

 

そこで著者は育児の三大リスクとして、

"親が過度な世話を焼き、過保護と言われる状態になる「干渉」"

"親が子に服従するような態度になる「溺愛」"

"親が子に伝えたことと、実際の行いが異なる「矛盾」"

を挙げています。

 

その根底には「子どもを1人の人間として尊重する姿勢」が欠けていることが原因なのかもしれません。

ただそこには親の我慢・忍耐、そして子どもに対する毅然とした態度が必要です。

このままやらせたら失敗するだろうな、となんとなく分かっていても、大事に至るようなことでなければあえて失敗させてみる。

そして失敗した時にも親がすぐ慌てて解決するのではなく、ドシッと構えて子どもと一緒になって考えてみる。

 

いやあ、言うは易し行うは難し、ですね。笑

その「我慢・忍耐」、「毅然とした態度」の前提として親自身の精神的身体的余裕が必要な気がします。

 

とにかく最初にも書いたように一番大切なのは人間の基礎になる「からだの脳」をいかに育てるか。

5歳くらいまではあまり小難しいことは考えず、とにかくよく食べ、よく遊び、よく寝ること。それだけ。

その環境を作ることに親は力を注ぐべきだと思いました。

その3つすべてが難しければまずは早寝早起きだけでもと著者は述べていました。

 

また脳の発達には順番がありますが、一方で「からだの脳」はいつからでも鍛え直すことができるとも著者は言います。

「からだの脳」、いわば自律機能の調節において、そのメンテナンスに重要なのがやはり睡眠、運動、食事です。

これは自分の経験からもその通りだと思います。

 

その他にも、「これがほしい!!」と訴える子どもとどう接するか、また子どもとスマホの距離感など、育児をしていく中で多くの親が出会う問題についても書かれていて、『なるほど〜!』と思うことがたくさんありました。

 

 

"子育ては「心配」を「信頼」に変える旅"

と著者は言います。

そのためにも子どもとしっかり向き合い、そして親である自分も常に子と一緒に成長する気持ちを忘れないようにしたいものです。

 

一読の価値はあると思います。おすすめです。